| 研究概要 |
加重サンプリングを適用することにより,レイリーフェージングが存在する通信路におけるトレリス符号化変調方式の誤り率特性を推定精度を落すことなく短時間で評価することを目的として研究を行った.システムモデルとして最も基本的なシンボルインターリーバ/ディインターリーバを有するものを対象とした.送信器と受信器とは同期が取れているとし,更に,理想的なシンボルインターリーバ/ディインターリーバを仮定した.加重サンプリングの適用によりシミュレーション時間を短縮化するためには,シミュレーション確率密度関数と呼ばれる計算機シミュレーションに用いる確率密度関数を適切に設計する必要があるが,その設計において雑音とフェージングそれぞれのシミュレーション確率密度関数を独立に設計する方法を提案した.雑音に対するシミュレーション確率密度関数としては従来の加法的白色ガウス雑音のみが存在する場合に有効である平均値移動法を用い,また,フェージングに対するシミュレーション確率密度関数としては本来のレイリー分布よりも分散が小さいレイリー分布を用いた.また,ユニオンバウンドの推定値の分散を最小化することにより,フェージングに対するシミュレーション確率密度関数のパラメタの最適化を行う方法を提案した.更に,実際に計算機シミュレーションにより提案方法の有効性の検討を行った.その結果,提案方法を用いることでビット誤り率10^<-6>の評価において同程度のシミュレーション精度の推定値を得るために必要とされるシミュレーション時間が1/240に短縮化できることが分かった.
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