研究概要 |
原子力や気象,分子科学,画像処理,人工知能などの分野における巨大計算への要請は強く,そのような計算に対しては,多数の処理要素からなる超並列計算機の実現が是非必要である.並列計算機の一形態として,メッシュ(あるいはトーラス)結合並列計算機がある.また計算機の高速化,小型化,省電力化および低価格化の一手段として,ウエーハ規模集積(WSI,Wafer Scale Integration)技術が考えられている.しかしWSIでは,チップ面積の飛躍的な増加により,もし何も工夫しなければ,歩留まりが非常に悪くなるという問題がある. 本研究では,計算機におけるこのような社会のニーズに応えるべく,特にメッシュ(あるいはトーラス)結合並列計算機をWSI実現することに焦点を絞り,以下のような研究成果をあげた. 1.Kungらが提案した11/2トラックスイッチモデルを基にして,E-11/2トラックスイッチモデルという新しい冗長アレー方式を考案した.このモデルは,Kungらのモデルが持っている多くの長所を継承する.またKungらのモデルと比較して,このモデルは,ハードウェアオーバヘッドは若干大きく(10%未満)なるが,歩留まりあるいはシステムの信頼性を飛躍的に向上させるという特徴を持っている. 2.11/2トラックスイッチモデルに対してかつて私が提案した,近似アルゴリズムであるEAM再構成手法をFPGAデバイス上に実現し,そのアルゴリズムの動作確認とシステム修復に要する時間の見積りを行った.その結果より,EAM再構成手法は製造時の歩留まり向上だけでなく,動作時の信頼性向上にも有効であると判断した.
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