ラジアルラインスロットアンテナの汎用設計コードの開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12750313
• 研究機関: 山形大学
• 研究代表者: 山本 哲也 山形大学, 工学部・電気電子工学科, 助手 (30312755)
• キーワード: radial line slot antenna / planar antenna / plasma production / FDTD method / moment method / millimeter wave

研究概要

ラジアルラインスロットアンテナ(RLSA)は、衛星放送用に研究・開発された導波管型スロットアンテナである。本アンテナは、既に周波数12GHz帯において80%以上の効率を実現し、現在、商品化されている。本アンテナの利点を生かす目的で、近年、様々なアプリケーションにRLSAが適用されてきている。周波数の高いミリ波帯における室内無線LAN及び自動車衝突防止用レーダ等、低周波数帯におけるプラズマ生成用RLSA等である。
研究実績の概要の1つめとしては、プラズマ生成用RLSAにおいて、開口径50cmにおいて極めて高い面内均一性(3%)を有するプラズマの生成を可能としたことである。従来の衛星放送用とは全く異なる素子密度を有するスロット板の試作を行い、その近傍界分布の計算値と実験値との比較を行った。計算は、周期境界壁を有する矩形導波管上にスロットが切られているモデルを使用し、モーメント法により行っている。振幅分布及び位相分布に関して、計算値と実験値が極めて良く一致していることが分かり、解析のモデル化及び計算手法の妥当性の確認を行った。
今後の更なる効率化及び多機能化のためには、多様なアプリケーションに対する適切な設計コードの開発(設計の汎用化)が急務であり、この研究は世界的にいまだなされていない。本研究実績の概要の2つめとしては、これまで用いられてきたモーメント法に加え、FDTD法を用いて解析空間を離散化し、解析を行った点である。導波路内部における電磁界成分を導出し、その非軸対称性の解明を行った。本手法を用いることにより、ミリ波帯アンテナにおける非線形素子を考慮に入れることも可能であり、さらに、プラズマ生成用アンテナにおける局所的な放電現象も計算に入れることが可能となる。

研究成果

• [文献書誌] T.Yamamoto,M.Ono,M.Ando,N.Goto,N.Ishii and Y.Yasaka: "Electromagnetic field characteristics of radial line slot antennas for surface wave coupled plasma production."IEEE AP-S International Symposium Digest.. Vol.2. 722-725 (2000)
• [文献書誌] T.Yamamoto and M.Ono: "Numerical performance of electromagnetic inner fields in small aperture radial line slot antennas by finite-difference time-domain approach."The 2000 Japan-China Joint Meeting on Optical Fiber Science and Electromagnetic Theory.. Vol.1. 251-254 (2000)
• [文献書誌] T.Yamamoto,M.Ono,M.Ando,N.Goto,N.Ishii and Y.Yasaka: "Near-field distribution of radial line slot antenna for surface-wave-coupled plasma generation."Japanese Journal of Applied Physics.. Vol.40,Part 1,No.1. 380-387 (2001)