優先・非優先両クラスのスループットを同時に向上させる適応型ルータに関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12750317
• 研究機関: メディア教育開発センター
• 研究代表者: 山岡 克式 メディア教育開発センター, 研究開発部, 助教授 (90262279)
• キーワード: ルータ / TCP / IP / グッドプット / スループット / 優先制御 / 適応制御 / 理論解析 / ARQ

研究概要

本研究では、ルータが自分で収集したネットワーク情報を用いて適応的にネットワーク制御を行う適応型ルータについて、優先制御を用いた制御法を提案する。
ARQは通信品質の劣化に伴いタイムアウトなどによる再送パケットを発生させるが、その再送パケットがさらにネットワーク品質を劣化させる原因となる。そこで、優先制御により再送パケットを減少させることができれば、結果として非優先クラスの通信も品質向上する可能性が存在する。
本研究では、TCP/IP通信を対象とし、特定TCPストリームに属するIPパケットに対して優先制御を行うことにより、優先クラスおよび非優先クラス両TCP通信のグッドプット向上を実現する。まずは理論解析により特性を調べ、TCPをGo-back-Nプロトコルに近似して優先制御を行った場合の高低両優先クラスの平均遅延を導出した。さらに、UNIX上に実装を行い、予備実験により、優先非優先両クラス通信が同時にグッドプットが向上する場合が存在することを示した。

研究成果

• [文献書誌] K.Yamaoka,K.Katoh,Y.Sakai: "Priority Control is Not The Property of the Privileged Classes"Proc.of Networks2000. S34.5(by CDROM). (2000)
• [文献書誌] 加藤邦弘,山岡克式,酒井善則: "優先制御による優先・非優先両クラスの遅延同時減少特性解析"電子情報通信学会技術報告. SSE2000-206,PS2000-53. 47-52 (2000)
• [文献書誌] 鈴木賢治,中川晋一,山岡克式,酒井善則: "ネットワークに優しいリアルタイム通信パケット分割制御方式"電子情報通信学会技術報告. SSE2000-209,PS2000-56. 65-70 (2000)
• [文献書誌] ルーンチーユー,加藤邦弘,山岡克式,酒井善則: "優先制御を用いた適応インターネットルータ"電子情報通信学会技術報告. SSE2000-256,IN2000-212. 149-156 (2001)