研究概要 |
本研究で扱う「モデリング」は,従来のテクスチュア解析におけるテクスチュアの比較・同定からさらに一歩進んで,「このテクスチュアは『丸い粒子を微細構造として構成されるテクスチュア』である」というようにテクスチュアを「記述」することを目的としている.これを実現するために,モルフォロジーにもとづいて画像をある基本形状の相似形に分解するパターンスペクトラムを用い,パターンスペクトラムにもとづいて基本形状を最適化することでテクスチュアを構成する要素形状を記述する. 本年度は,(1)基本形状をグレースケールで表現し,より精密にテクスチュアを記述する方法の開発,および(2)複数種類の要素形状をもつテクスチュアを記述する方法の開発を行った.(1)については,基本形状を,まずその形状,次にその輝度値と2段階にの最適化することで,より精密な記述を行うことができた.この方法は,第15回パターン認識国際会議ほかで発表した.さらに,得られた要素形状によって異なるテクスチャを正しく弁別できることの検証,および最適化におけるパターンスペクトラムの評価基準の検討を行った.また,要素形状が均一であることがわかっている場合に,基本形状のサイズをより精密に求めることができる最適化法も開発した. また(2)は,テクスチュアをそれを構成する要素形状に分割し,各要素形状をその特徴量にもとづいてクラスター分析法によってグループ分けすることで,複数種類の要素形状をもつテクスチュアの場合でも「何種類の要素形状があって,それぞれがどんな形をしているか」を記述する方法である.この方法をパターンスペクトラムを特徴量として実装し,複数種類の粒子の混じった実画像についてその有効性を示した.
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