研究概要 |
本年度は、誤り訂正符号の性能評価を行う上で一つの基準となる復号誤り確率に着目し、AWGN上での軟判定復号に対する復号誤り確率のより厳密な評価方法に取り組んだ。具体的には先述の復号誤り確率を評価するための和集合上界に対して、通常の重み分布を用いるのではなくLocal Distance Profileを用いた場合の上界を計算するために、そのLocal Distance Profileを効率的に求める方法を提案した。一般に、線形符号のLocal Distance Profileは、符号長n,情報点数kに対してO(n^2k2^k)となるため,nおよびkが大きい符号では、求めることが困難であるが、対象とする符号を2元巡回符号に限定した場合は、符号の構造上の性質をもちいて、この計算量を大幅に削減することが可能である。本年度は、2元巡回符号に対してLocal Distance Profileを効率的に求める方法を提案した。提案方法を用いることによって、従来の数十分の一の計算量でこれを求めることが可能となった。また、実際に符号長63の2元BCH符号に対して本手法を適用し、Local Distance Profileを導出した。これまでの手法では、求めることができなかった(63,39)BCH符号や(63,45)BCH符号に対するLocal Distance Profileを求めることができたことによって、これらの符号に対する復号誤り確率の上界は、これまで与えられていた通常の和集合上界より厳密に評価することが可能となった。本年度の研究成果は、2000年11月に行われた国際会議International Sinposium on Information Theory and its Apprications 2000,Nov.5-8,2000,Honolulu,HAWAIにおいて既に発表されている。
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