研究概要 |
1.ターボ符号とトレリス符号を用いたPR方式の検討 本研究の狙いと目標は,通信の各分野で次世代の有望な信号処理方式の一つとなっているターボ符号や低密度パリティ検査符号を始めとする符号化方式と事後確率に基づく系列推定を行う繰り返し復号法を組合わせたパーシャルレスポンス(PR)方式を構成し,これらの各符号化PR方式の誤り率特性を解析することにある.本年度においては,まず中間の目標として,ターボ符号化と事後確率に基づく系列推定を行う繰り返し復号法を組合わせたターボ符号化PR方式と系列間の最小自由ユークリッド距離を大きくするトレリス符号化PR方式を構成し,シミュレーションによって両者のビット誤り率特性を比較検討し,両者の特性の違いを明かとする. 2.研究経過・中間成果 符号化率19/20トレリス符号,38/40ターボ符号とE^2PR4ML方式を組み合わせた各方式の開発を行い,従来の16/17MTR(3;11)符号にPR(5,9,1,-7,-6,-2)方式を組み合わせた方式の誤り率特性を求め,比較検討する.ただし,規格化線密度K=3.0,ナイキスト波形のロールオフ率β=0.5,符号間干渉量と等化器の帯域幅を調整するためのパラメータηを読み出し点SN比においてビット誤り率(BER)を最適とするη_<opt>とする.その結果,トレリス符号は16/17MTR符号に対して,BER=10^-5程度で1.8dB程度のSN比改善が得られた.また,トレリス符号の誤り率特性は,5回の繰り返し復号を行ったターボ符号に対してBER=10^<-4>程度までは優位にあることが明かとなった.また,ターボ符号の軟出力を利用した繰り返し復号では,等化器出力系列から得られる軟出力を含める場合は,さらにSN比改善が得られることが明らかとなった.
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