研究概要 |
二十一世紀初頭の高度情報社会分野では,現行よりも一段と進化したハードディスクや光ディスクなどの様々なディジタルストレージ装置が,マルチメディア情報蓄積のための記録メディアとして最も期待されている.このため,ハードディスク装置においては,現時点でディジタル記録媒体の面記録密度が年率100%という急速な勢いで高密度化が求められ,一平方インチ当たり約百ギガビットを超える記録密度を達成している.本研究では,今後の超高密度ディジタル磁気記録方式を実現するために,このディジタル磁気記録のための信号処理技術に着目し,性能の良い情報伝送を実現するためのパーシャルレスポンス方式と呼ばれるディジタル信号処理方式の検討を更に進めた.そして,磁気記録・再生チャネルの持つ特性に適するようにデータ系列を加工して変換する記録符号化と呼ばれる符号化方式を組み合わせることで,さらに性能の良い優れた情報伝送を実現することを検討した.この結果,記録符号化方式として近年様々な通信分野で着目されているターボ符号化方式を採用し,従来よりも性能の良い高次パーシャルレスポンス方式を組み合わせることで,今後の目標となる記録密度の領域において数dBのSN比改善が得られることが判明している.この結果は,次世代の記録方式の一候補となる単一装置内に複数ディスクを装備するマルチトラック方式を用いたハードディスクシステムにも当てはまることも,様々な計算機シミュレーションや実験結果によって裏付けられている.併せて,本研究を通して,誤り訂正方式と本研究方式との有効な組み合せを見出す問題やマルチトラック方式実現に向けての課題も同時に幾つか判明している.
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