本年度は、レイヤ3の経路制御と、レイヤ2の高速転送を同時に提供するMPLS(Multi-Protocol Label Switching)技術を実装したLSR(Label Switching Router)の基本特性を明らかにするために、以下の理論解析を行った。 ・カットスルーパス設定方式の違いによる性能比較 ある送受信端末間の通信は、送信パケットのヘッダに記されるレイヤ3のIPアドレスを基に経路が特定されて行われる。現状のインターネットルータでは、同じ受信端末への後続パケット(IPフロー)についても同様な処理を行うが、LSRでは、この経路をレイヤ2の高速転送パス(カットスルーパス)を設定することで、高速に処理する。このパス設定方式には、1)データ駆動方式、2)コントロール駆動方式があり、カットスルー率、レイヤ3の処理遅延を指標として、性能比較を行った。 ・カットスルーパスの割当帯域を考慮した遅延特性の評価 上記では、予めLSRで提供できるカットスルーパスが多い程、性能は向上することが示されたが、その割当帯域は徐々に小さくなり、レイヤ2の処理時間は逆に増加するため、それを考慮して理論解析を行い、LSR全体としての処理時間を導出し、QoS制御を行うための、基本特性を示した。
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