本研究では、実時間処理を実現する任意焦点画像生成手法、およびこれに基づく、画質制御を行う画像通信方式の検討を行っている。本年度は主として、任意焦点画像等の実時間生成処理手法を検討し、続いてこれを既に試作した現有設備である、動画像に対する焦点画像処理までを可能とする多焦点撮像カメラと統合することで、実際に実時間処理システムの構築までを行った。 まず、任意焦点画像の実時間生成処理手法としては、FFTベースの高速演算やCGアクセラレータ等の応用を検討した。申請者の提案している焦点画像処理手法は、2次元画像に対する畳み込み演算および加減算といった極めて単純な線形演算の組み合わせに基づいている。この特徴を利用し、FFTベースの高速演算手法やCGアクセラレータ等のハードウェアの応用による実時間生成処理が実現された。 続いてこれを、既に試作されている現有設備の多焦点撮像カメラと組み合わせることにより、複数の動画像の入力から任意焦点画像シーケンス生成処理までを実時間レベルで統合するシステムを構築した。設備備品として導入した高品質メディア処理装置は複数の動画像入力が可能であり、これにより任意焦点画像の実時間生成処理システムの構築が可能となった。多焦点撮像カメラから得られた複数の映像を映像処理装置へと適切に入力し、任意焦点画像の生成など高性能な映像統合処理が実現された。 以上に示した本年度の検討により、申請者の提案している焦点画像処理手法は動画像通信や仮想空間共有通信へ十分に応用可能であることが明らかとなった。次年度は上記の実時間処理システムを用い、画質制御を実現する画像通信方式を具体的に検討していく予定である。
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