1、導体円筒上スロットアンテナの土壌中におけるアンテナ特性の評価 導体円筒上軸方向スロットアンテナを作成し、東京ガス(株)所有の実験フィールドにおいて、本アンテナの土壌中での放射特性、指向性特性をネットワークアナライザにより計測した。放射特性については従来使用されていた水平ボウタイアンテナと比較した結果、地中伝播において重要な周波数帯域である150MHz以下においてスロットアンテナはボウタイアンテナより6dB程度ゲインが高いことがわかった。また、指向性についても無指向性であり、計測に支障はないと考えられる。 また、今回、導体円筒上にボウタイ状に導体をくり貫いた磁気型のボウタイアンテナを新たに考案し、アンテナ特性の取得を行った。このアンテナはスロットアンテナの150MHz以下でのゲイン向上を目的としている。計測の結果、本アンテナはボウタイ部の傾きが2のとき、スロットアンテナに対し6dB程度ゲインが向上する結果が得られた。また、指向性特性、偏波特性もスロットアンテナと同様であり、本アンテナを水平埋設管探査用のアンテナとして採用することとした。 2、水平偏波に対する垂直な同軸ケーブルへの誘導雑音の影響の評価 偏波に対して垂直な信号ケーブルの影響による誘導雑音の影響は90dB程度であった。これは、2.5mの地中伝播では全く問題にならない程度の弱い信号であるが、5mの地中伝播ではアンテナ同士の直接波が大きく減衰し、誘導波が相対的にほぼ同程度の振幅となった。しかし、両者の到達時刻が異なるため、時間領域で両者を分離可能であることがわかった。このことにより、ネットワークアナライザ、同軸ケーブル、水平偏波アンテナを用いた、本レーダシステムにより、従来困難であった、5m区間での地下埋設管イメージングのためのトモグラフィデータの取得が可能であることが明らかとなった。
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