研究概要 |
本年度の研究実績は以下のとおりである. とくに,空間周波数・時間混成領域処理において,従来困難であった2次元速度ベクトルが時々刻々変化する場合の移動物体抽出を可能にした. 提案する移動物体監視システムは次のように構成される. (a)空間変数についてフーリエ変換し,入力画像を時間と空間周波数から構成される混成領域に変換する. (b)複素拡張カルマンフィルタを用いて各周波数点での,フーリエ係数,空間周波数・速度ベクトルを推定する. (c)移動物体のもつスペクトルの性質を利用して,(b)で得た結果を統合処理し唯一の空間周波数・速度を求める. また本手法ではスペクトルのエネルギーの大きさに応じた統合処理のため,ウェーブレット変換を用いた. (d)統合処理した推定結果を各カルマンフィルタにフィードバックし,フーリエ係数を求める. (e)(d)の結果に対し空間変数について逆フーリエ変換し,移動物体の抽出画像を出力する. 速度変化を伴う移動物体は,空間周波数・時間混成領域において時間周波数が変化する擬似周期信号(1次元複素信号)の束となる.この擬似周期信号を推定する複素拡張カルマンフィルタを設計し,提案システム(プロトタイプ)を構築した.また任意の軌道を有する移動物体(コンピュータ画像)を対象にシミュレーションを行い,本システムにより,速度変化を伴う場合にも良好な速度推定,物体抽出が行えることを確認した. 次年度においてはこの成果を基礎に,より実際的なシステムへ発展させる. ss
|