研究概要 |
サーモグラフィを用いて構造物表層部の欠陥を非破壊評価する既往の研究において,欠陥の形状が円形である場合は、その平面寸法が推定できることがわかっている。しかしながら、任意の形状の欠陥に対する評価法や、得られたデータの処理システムなどについては、未検討となっている。 そこで本研究では、欠陥形状を変化させた場合について供試体実験を行い、欠陥の平面寸法の評価方法について検討した。さらに、得られた熱画像から自動的に平面寸法を同定し、判定結果を画像上に表示するプログラムの構築を試みた。その結果得られた内容をまとめると以下のようになる。 (1)赤外線カメラにより撮影された熱画像をパソコンのモニタ上に表示し、温度変化領域を選択することで自動的に平面形状を推定し、結果を画像上に表示するプログラムを作成した。 (2)欠陥評価プログラムの使用によって、短時間かつ効率的に、欠陥をある程度定量評価することができた。 (3)温度差分布曲線の変曲点における温度と熱画像中の最低温度との比の関係は、約1.14となった。この関係から、あらかじめ変曲点の位置を予想して熱画像上にプロットし、欠陥評価範囲の選択の際に参考になるようにした。 (4)欠陥評価プログラムにおける空隙の平面寸法の検出誤差は、本研究の範囲内では、±10%であった。 (5)角張りを有する欠陥形状の場合は、熱伝導の影響等により、角部の温度変化領域が消散してしまい、欠陥端部を検出することは困難であった。
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