研究概要 |
今年度はマスコンクリート構造の初期欠陥を実験的に確認することで,従来構築されている遷移材齢時コンクリートの構成則における材料パラメータをより精度良く同定することを目標とした.そこで,まず供試体レベルでの初期欠陥の実験評価を試みた.具体的には遷移材齢時コンクリート供試体に一軸圧縮応力を作用させ所定の損傷を与え,所定の期間が経過した後,再び載荷することにより,応力経路の測定を行った.そして損傷を与えない場合の応力経路と比較することで材齢による強度の回復特性を実験的に評価した.その結果2つの成果を得た.一つは損傷を与えた期間,与えた一軸塑性ひずみの大きさおよび載荷開始材齢と損傷による強度回復特性とはシステマチックな関係があることを実験的に確認したことである.さらにその成果は,一軸圧縮応力場のみではあるが,著者らによって構築された遷移材齢時コンクリートの構成則モデルにより十分説明することができ,損傷の影響を構成則モデルに導入することを可能としている.今後は引張応力場あるいは多軸応力場における実験的検討を行いたいと考えている.もう一つの成果は,遷移材齢時コンクリートのレラクセーション特性は,解析的には従来応力依存性はないとされてきたが,ポストピーク以降の応力レベルにおいては応力依存性が強いことを実験的に確認できたことである.構成則モデルの精度向上のためには,この点について今後充分に理論的検討がなされる必要がある.これらの成果は2001年3月の土木学会中部支部で公表しており,さらに2001年6月に開催される日本コンクリート工学協会の全国大会に論文として投稿中である.
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