研究概要 |
1999年に発生したトルコ・コジャエリ地震,トルコ・デュッゼ地震,台湾・集集地震では,数mの大断層変位による構造物の被害が多数生じた.日本においても2000箇所以上の断層が現時点で確認されており,これらの地震で見られたような断層変位による構造物の被害が生じない保証はない.以上を踏まえ,本研究の目的としては,1)大変位地震入力下における橋梁の落橋メカニズムを解明すると同時に,2)数mに及ぶ大断層変位が生じても橋梁としての機能を保持できる新構造形式を模索することである. 本年度は上記1)について検討を行った.第一に,トルコおよび台湾地震における橋梁の被害を断層変位量や断層線の方向と関連づけることによって解析的に分析した.特に,台湾における卑豊橋,烏渓橋の落橋メカニズムに着目し,周辺地盤において水平方向,上下方向ともに3m〜4m程度の断層変位が生じたことを明らかにすると同時に,断層の上下方向変位によって生じた隣接桁間の段差ではなく断層の水平方向変位によって生じた隣接桁間の相対変位によって落橋したことを明らかにした.第二に,単純桁橋を模擬した模型供試体を製作し,大変位地震入力下における隣接桁の運動の相互作用,特に隣接桁間の衝突現象について実験的に再現し,桁間衝突のメカニズムの解明および衝突を緩和するための落橋防止構造の有効性に関する実験的検討を行った.その結果,隣接桁の圧縮・引張方向の相対変位の増大を防止するためにはゴム製緩衝装置が有効であることを明らかにした.次年度においてはこれらのゴム製の緩衝材料を地盤に設置し,橋梁-地盤全体系に対する免震構造について検討していくつもりである.
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