研究概要 |
Trapped modeの発生周波数においては、通常の予測値をはるかに超える(50倍以上)高い波力が構造物に作用する可能性のあることから、設計波力や波の打ち上げ高さの算定に関連して工学的観点からもtrapped modeの研究が急速に進められている。しかし、これまでの研究は全て線形理論に基づいており、波形勾配が大きくなる共振状態における非線形項の影響は考慮されていなかった。そこで、本研究では、単独円柱を水路内中心軸上に設置した基本的問題を設定し、波形勾配の2次オーダーの非線形項の影響を厳密に考慮した場合におけるtrapped modeの発生周波数、モード形状に関する解析ならびに実験的検証をおこなう。 平成11年度においては,Malenica,Eatock Taylorらの研究(1999)をもとに、これを水路壁境界条件を満たすような定式化の拡張を試みた.2次オーダーのポテンシャルは、自由波成分と拘束波成分という2成分に分けられるが、この内、自由波成分は基本的には1次オーダーのポテンシャルと同様な手続きにより求められるため、基本的に解決済みである。拘束波成分の計算においては、自由表面上での1次オーダーポテンシャルの関数を無限領域にいたるまで積分する必要性がでてくる。しかしその収束性は一般に悪く、被積分関数の遠方挙動の漸近展開を正しくおこない、かつ、これを解析的に積分することが求められる。以上のとおり、定式化においてかなりの困難が生じる.現時点では,まだ定式化の途上であるが,その基本的特性については把握しつつあり,来年度研究において理論ならびに数値計算の完了を目指す.また,検証実験のための水槽内強制加振実験については,ほぼ,その準備を終えた.
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