Trapped modeの発生周波数においては、通常の予測値をはるかに超える(50倍以上)高い波力が構造物に作用する可能性のあることから、設計波力や波の打ち上げ高さの算定に関連して工学的観点からもtrapped modeの研究が急速に進められている。しかし、これまでの研究は全て線形理論に基づいており、波形勾配が大きくなる共振状態における非線形項の影響は考慮されていなかった。そこで、本研究では、波形勾配の2次オーダーの非線形項の影響を厳密に考慮した場合におけるtrapped modeの発生周波数、モード形状に関する解析ならびに実験的検証をおこなうことを目的とした。 2次オーダー波力の算定においては、特に、無限領域までの自由表面上での積分を実施する必要があり、その収束性が悪いために解析的に処理する必要があるが、本研究では、最終的にM. H. Kim(1990)の方法を採用、その8節点2次要素を用いた境界要素法プログラムヘのインプリメントを完了した。計算精度の検証の結果、本プログラムは高い精度を有することが確認され、多数の円柱間で生ずるtrapped modeの解析にも応用可能となることが見込まれている。国内において、本研究で達成したレベルの高い精度を有する2次オーダー波力を計算できるプログラムはなく、国際的にも、MITのWAMIT等、数例を数えるのみと考えられる。現時点では、必ずしも2次オーダートラップ波に関する直接的知見は得られていないが、本研究に関連して開発した2次オーダー波力を高精度に解析できるツールを整えることができたのは極めて大きな成果である。
|