時間領域における動的解析においては、解析の発散の回避は重要な課題である。解の発散は、アルゴリズムが増加傾向の指数関数を含む等、強い発散傾向を持っている場合も含めて、一般に高周波のノイズがトリガとなって引き起こされる場合が多い。 本研究では、いわゆる減衰に相当する効果を加えることにより解析の発散を防ぐアルゴリズムとして、時間積分を行う過程においてディジタルフィルタにより高周波成分を除去できる手法を開発する。 今年度の検討により、提案する時間積分法の定式化および周波数特性の評価手法等が整理されている。主な成果を以下に示す。 (1)定式化の上では、generalized α法に統合されるNewmarkのβ法をはじめとする種々の時間積分法を包含するものとなっていることが示された。 (2)また、本手法により実現される減衰特性は、ディジタルフィルタの考え方に基づいて実現されている点が既存の時間積分法における方法と異なっており、多様なディジタルフィルタを使用することが可能になっており、加速度、速度、変位にそれぞれ異なるフィルタを作用させることができるなど、付与する減衰特性の設定の自由度が高いものになっていることも示された。 (3)用いられた変数が運動方程式を満たすことを陽に表せること、また、generalized α法等において2次精度を確保するための条件式やこれらの手法の安定条件式の意味を明確に解釈できることも示された。 (4)さらに、時間積分法として、有限要素法の解析に適用し、その有効性も示した。
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