研究概要 |
1.3個の地震計を用いた微動のアレイ観測からレイリー波位相速度を推定する方法の確立 微動のアレイ観測記録から表面波の位相速度を求める方法のひとつとして空間自己相関法がある.一般に,この方法を適用するためには,センサーを円の中心とこの円周上に等間隔に設置したアレイ観測を行う必要がある.本研究では,この円形アレイ観測における空間自己相関法の原理をセンサー間のコヒーレンスを用いて説明し,センサーの個数と位相速度の推定誤差の関係を明らかにした.また,実測がより簡単な2点および3点アレイ観測の記録を空間自己相関法へ適用した場合の位相速度の推定誤差を検討している.その結果,3点アレイ観測でも比較的精度よく位相速度を求めることができることを理論的に示した.また,2点アレイ観測に関して,新たに位相速度を推定する手順を提案した. 2.レイリー波の位相速度から簡単に表層地盤の平均的なS波速度を推定する方法の確立 深さ30mまでの平均S波速度Vs30と地盤の増幅倍率にはよい相関があることが指摘されている.通常,Vs30の算出にはPS検層データが用いられる.本研究では,アレイ微動観測からレイリー波の位相速度を求めることを前提に,この位相速度からVs30を直接推定する方法を提案した.本提案方法は,波長35〜40mのレイリー波の位相速度はVs30とほぼ等しい,とするものである.東京都,神奈川県内の85地点の地盤モデルを使用して,数値実験的に本提案方法の妥当性を示した.
|