研究概要 |
本年度では,級数解法と大型要素を用いることによるハイアラーキ要素(p法)特有の問題点を改善するための数値計算法の開発を行った.さらに,解法の汎用性や精度,計算時間など,数値計算全体の効率性を考慮して次の要素を開発している. 1.要素の変位関数には,節点帯板法の研究で用いた最も簡単な階層型C^0級多項式の関数列を用いた.さらに,要素が定形の場合には,数値積分を用いずに解析的に剛性行列を求めて計算時間の短縮を図る定形要素を定式化した. 2.ハイアラーキ平面シェル要素には,曲げ変形にMindlin理論を用いて四辺形要素および三角形要素の開発した.さらに,ハイアラーキ写像の手法による任意形状要素を定式化した. 3.ハイアラーキ写像や混合関数法を用いて高次曲線要素を開発し,数値計算例により極めて高精度であることを確認した. 4.集中荷重が作用する場合や特異性を有する構造に対して,要素の細分割を行わずとも高精度の解を得るために特異要素を開発し,数値計算例によりその精度と効率性を確認した. 5.様々な内部自由度の採り方を研究し,効率的な遷移要素を開発した. 以上によって,薄肉構造物の局部応力解析に必要な基本的な要素の定式化と解析プログラムの開発を行うことができた.種々の計算例によってハイアラーキ有限要素法(p法)は要素細分割法(h法)に比べて,少ない未知数で極めて高精度の解が得られることを明らかにした. 次年度は,本年度の研究を基にして大型構造物に対する全体解析法について重点的に研究を行い,橋梁構造物の局部応力解析に本解法を応用する予定である.
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