| 研究概要 |
本研究は,土の間隙構造の評価・表現法を見出すとともに,その構造の観点で,粒度などの土粒子物性と不飽和土の浸透特性値との関係を究明したものである.本本度に実施した検討項目および得られた成果は次のようである.
(a)空気圧入型の間隙評価装置の試作
微細な間隙径をもつ粘性土に対して筆者らが開発の「空気圧入法」や従来手法の「水分法」のそれぞれにより間隙径分布を計測するために,砂質土に適応した現有装置での問題点や改善点を抽出・検討した.いずれの手法も飽和土試料へ空気圧を負荷して間隙径を評価するものであるが,高圧に耐え得る等の改良した装置を試作した.装置の設計確認・製作に費やしたので,試作装置の精度点検等は次年度の作業に期することとした.
(b)粒度が及ぼす浸透特性値への影響
砂質土を対象にして,間隙評価に関する筆者らの既往成果に従い,粒度・間隙径分布と水分特性曲線との対応を検討した.水分特性曲線は,残留体積含水率,飽和体積含水率,比水分容量の最大値,空気侵入値の4要因で決定されると考えて,各要因に対する粒度の影響を分析した結果,(1)粒径が小さく均等係数が大きくなるほど,残留体積含水率は0より大きな値となり,飽和体積含水率は間隙率より小さな値になる傾向を認めた.(2)比水分容量の最大値は均等係数が大きくなるほど小さくなり,一方,(3)空気侵入値は粒径が小さく均等係数が1に近いほど大きなものになる傾向であった.即ち,水分特性曲線には粒度の均等係数の役割が大きいことが判明した.
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