研究概要 |
白石地域における山麓側から海側にかけての低平地地帯3地点から、地質調査用,地下水調査用および土質試験用試料を得た。地質調査用試料を用いて酸化還元電位,塩分濃度,電気伝導率およびpHを測定した.また、含有貝化石分析や火山灰ガラスの同定を行い、地層堆積時の年代や水質について推定した。地下水調査用試料から遠心分離機を用いて地下水を採水し、塩分等水質の分析を行った。土質試験用試料を用いて鋭敏性、圧縮性に関する土質試験を行い、電子顕微鏡観察を行った。 以上の調査結果から、塩分溶脱メカニズムの基礎知見として次のことを得た。地下帯水層では塩水化が進んでいるが、その水質組成は海水のそれに類似しないことから、陸域における塩分供給源の存在を考慮しないと説明できない。また、地下帯水層の水質は、酸素を含み酸化状態にあるものが見受けられた。一方、海水環境で堆積した海成粘土層の塩分濃度は著しい低下の傾向を示した。また、その酸化還元状態も弱い還元状態にあった。以上のことから、地下では自然状態のもとでは考えられない速さで地下水流動が進んでいることが示唆された。 現在、地下水の各同位元素の分析を進めており、3月中に結果がでそろうので直ちに地下水の年代、起源に関する検討に着手する。さらに、海成粘土層と地下帯水層との間の地下水流動メカニズムを知るために、地質調査用試料を用いてイオウを主とする安定同位体の分析も進めており、まもなく調査結果が得られる。 以上の知見に基づいて、平成12年度末から地下水流動に関する解析的検討を始めた。平成13年度はこの解析的検討が主な作業となり、しかる後に海成粘土層の塩分溶脱メカニズムについての理解をまとめることとなる。
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