本年度は、以下の研究を明らかにした。 砕波ジェットのモデルとして貯水パイプにためられた水塊を瞬時に落下させ、水塊の水面への衝突に伴う混入気泡径及び発生から分裂さらに浮上にいたる気泡発達過程を評価する新たな解析法を開発した。気泡生成時に放射される音波をハイドロホンにより計測しウェーブレットパケット変換によりその発達過程を通じた気泡径を推算することによって発生する気泡はウェーバー数とフルード数によって5つの典型的なタイプに特徴化することができる。水中音を元にした計測法を多量の気泡が発生する実際の砕波に適用した。砕波フロントの到着直後、着水点の前後及びbubble clouds到達後で完全に異なる周波数帯の気泡音が確認された。砕波の局所的な流体運動に生成気泡の特性が大きく依存することが明らかになった。 また、現地観測及び室内において生成微細気泡量の計測が行われ、実海域の気泡量が淡水を用いた室内実験より大きな値を示し、特にsawash zoneで急激な上昇が存在することが明らかになった。界面ステートに対する生成気泡の差異を界面活性剤を淡水中に混入させ室内実験を実行した。これにより安定した界面に発生する気泡は平均で非常に小さく、砕波形態に大きく依存することが明らかになった。 上述の実験及び現地観測の結果により、砕波後の気泡の発達過程と気泡径について詳細な情報を得ることができた。これらの結果は、砕波後の気液二相流としての数値気泡モデルの定数を決定し気泡流計算を実行するために有効な情報である。
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