本研究は街路環境整備において住民の参画を考慮しつつデザイン立案を行うためのシステムを構築するものである。このシステムでは街路形態やストリートファーニチャーを含め様々なデザインアイデアが整合したトータルデザインを実現することが意図されている。今年度は前年度の成果であるデザインメソッドのデータベースを活用し、具体的なデザイン立案の仕組みを拡充した。デザイン立案の仕組みについてはまず第1に対象となる街路に適用されるデザインメソッドの選定をどうするかという問題がある。ここでは街路周辺の土地利用形態によって選別される仕組みを導入した。これは各デザインメソッドと周辺環境条件との適合性をデータベースに登録しておくことで採用すべきメソッドの判定が可能となる。第2にデザインの対象となる街路の設計方針と整合のとれたメソッドを採用すると評価が高くなるようにした。これは考え得るデザイン方針を一覧形式でまとめ、これら全ての方針との整合性を全メソッドについてデータを登録した。第3にデザインメソッド間の整合性を評価する仕組みを導入した。デザインの立案はデータベースに登録されたメソッドの取捨選択によって行われる。最終的に採用が決定されたメソッド群同士のデザインの一貫性を保持するために、メソッド間の整合性を評価する手法を構築した。デザインメソッドのデータにはそのメソッドのデザイン効果と問題点が情報として与えられている。効果と問題点は共通のコードとしてあらかじめ定義されたリストから選択される。デザインメソッド同士の整合性はそれぞれのメソッドに与えられた効果・問題点同士の整合性をカウントすることによって示される。このように適用候補となったデザインメソッド群は与えられる3種類の整合性(周辺との整合、設計方針との整合、メソッド同士の整合)の評価結果によって総合的に検討を加えることが可能である。
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