研究概要 |
1.国内航空旅客・国際航空旅客を対象として実施された既往調査,既往研究を整理し,本研究で実施するアンケートの質問項目,質問方法に関する検討を行った.そして国内・国際両航空サービスに対する選好意識が異なることを明らかにするため,双方のサービスに対する選好意識調査を実施することとした.年度内にアンケート調査の実施する予定であったが,調査票の作成に留まった.13年度早々に調査を実施する予定である. 2.1985年〜1997年の全国内航空路線の旅客需要,航空サービス供給量(頻度)および各空港の利用圏域の社会経済指標(人口,経済活動水準)のデータを整備した.そして,これらのデータを用いてコブダグラス型の需要関数を年度別に推定した.回帰係数の経年変化を考察した結果,近年においては空港利用圏域の人口よりも,むしろ経済活動規模において需要に対する弾力性が高まっていることが明らかとなった. 3.航空旅客動態調査(国内)を用いて,地域間移動において同一起終点でありかつ異なる複数の空港が利用されている地域を抽出した.そしてこれらの地域のサンプルを用いて,複数空港間の選択モデルを集計ロジットモデルにより推定した. 4.旅客の空港選択行動,航空会社選択行動,および航空会社の利潤最大化行動を定式化し,ミクロ経済学観点から市場の需給状態を導出した.そして3.で推定したモデルを適用し,均衡解の数値解析システムを構築した. 5.ここで構築したシステムを用いて,新規航空会社の市場参入の影響分析を行い,地域別の利用者便益変化,エアライン毎の利潤変化等を計測した.これらの過程を通じて,当システムを発展・改良することにより,本研究が目的とする国内,国際両航空市場の需給メカニズムを考慮した空港整備評価システムの構築が可能であるとの知見を得た.
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