研究概要 |
1,動学的応用一般均衡分析モデルの精緻化 これまで構築してきた動学的応用一般均衡(DCGE)モデルの精緻化を図った.具体的には,家計の旅客運輸サービス消費の詳細化および確率的選択行動モデルとの融合を行うとともに,家計の自動車購入行動のモデル化を行うことで,将来的に自動車台数がどのように増加していくのかの予測モデルの開発を行った.また,近年普及が現実的なものとなってきた低公害車についてのモデル化も試み,先の自動車台数変化において,そのうちの低公害車普及台数についても予測が可能となっている. 2,動学的応用一般均衡モデルによる最適政策の検討 1.にて構築したDCGEモデルを用い最適政策の導出に向けて,自動車燃料税増徴策,自動車重量税増徴策,低公害車補助金支給政策について以下のような実証分析を行った.対象期間を2000年から2010年とし,まず自動車燃料税を10%増徴させた場合の環境負荷削減分を基準とし,その基準値を達成すべき自動車重量税率,低公害車補助金率を設定した場合に,市場経済においてどれだけの不便益が生じるのかを計測した.そして,その不便益額を各政策について比較し,その有効性の検討を行った.その結果,政策としては自動車燃料税増徴策より重量税増徴策の方が効率的であり,補助金については60%以上の設定が必要でありその実施には,他の政策との組み合わせ等の考慮が必要であることが示された.
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