(1)我が国の大都市圏通勤鉄道の現状整理<モデル構築の準備> 我が国の大都市圏通勤鉄道について、東京圏・大阪圏の大手民営鉄道事業者を対象として、各種輸送データ(輸送力、輸送量等)、サービスデータ(運賃、混雑率、表定速度等)および各種財務データを整理した。また同時に、鉄道事業に適用されている各種制度についてのレビューを行い、必要に応じて事業者へのヒアリング等を行った。また、海外の都市鉄道についても、制度や各種事業の概要等についても整理を行った。さらに、鉄道だけでなく、非弾力的な需要下にあると考えられる各種公益事業の現状についても、各種文献、統計から把握し、モデル構築の準備を行った。 (2)鉄道事業のサービスーコストサブモデルの構築 線区条件を入力として、あるサービス水準(混雑率、表定速度、乗換至便性)を達成するための各種コストを出カするモデルを構築した。このコストには、輸送力増強投資費用、取換え・保安投資費用、運営費用、金利等を考え、この4費用それぞれについて、サービスとコストとの関係を表現する費用算定モデルを構築した。パラメータの推定にあたっては、わが国の大手民鉄12社の1967年から1996年までの30年間のデータを用いた。その結果、おおむね良好なモデルが構築できたが、輸送力増強投資費用については、長編成化のような逐次改善投資と、線増のような大規模改良投資とをより明示的に表現するモデルとすることが課題として残った。
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