研究概要 |
本研究は,物理化学的処理(湿式酸化処理)を行うことで廃棄物中のリグニン成分の分解を行うための最適前処理条件を明らかにすること,およびこのような有機性廃棄物の処理法のもつ環境修復効果(廃棄物の減量化)を他のカテゴリーの環境影響であるエネルギー消費や水質汚濁といった項目に対する間接的な負の影響を含めて評価することを目的としており,前処理の効果を有機性固形廃棄物として現在その回収率が高いにも関わらず再利用される量が低いため行き場を失っている新聞紙を有機性固形廃棄物のモデルにして湿式酸化処理を行い,並行して本システムの環境影響評価を行うため日本において水質汚濁に関する環境影響評価をマクロな視点で行うに当たりライフサイクルアセスメントに必要な信頼性のある原単位がない状況であるため産業連関法を用いてその構築を試みた.本研究から,生分解性の低いリグニンはアルカリ性条件で湿式酸化することで分解効率が高くなり,生分解性のあるセルロースはアルカリ性条件での湿式酸化処理では安定していること,最適な湿式酸化温度は190度付近であること等が明らかにされ,本プロセスの多項目環境影響を評価するために不可欠である水質汚濁に関する原単位が点源負荷について検討し間接的な影響を含めた予備的LCA原単位として産業連関法を用いて構築された.
|