研究概要 |
本年度は、除草剤CNPの嫌気性微生物分解に伴う変異原性の変動を調べ、以下の知見を得た。 (1)CNPは嫌気的に速やかに微生物分解され、分解代謝物としてCNP-aminoが添加CNPの16%生成された。また、残りの84%は未知代謝物へと変換された。 (2)CNPはYG1024,YG1029,YG1041,YG1042株の+S9mix条件下にて変異原性ありと判断された。 CNP-aminoは全ての菌株の+S9mix条件下にて変異原性ありと判断された。 嫌気性分解代謝物であるCNP-aminoは、CNPに比べ変異原性が強いことがわかった。 (3)嫌気性微生物分解に伴い、YG1024,YG1029,YG1041,YG1042株に対する変異原性が著しく高まった。 (4)各時間毎に採取したサンプル中のCNP,CNP-amino濃度と、CNP,CNP-amino原体の変異原性試験結果を用い、各サンプルの変異原性へのCNP,CNP-aminoの寄与を計算したところ、 ・YG1041株(あるいはYG1024株)ではCNP-amino以外の未知代謝物が変異原性に寄与している。 ・YG1042株(あるいはYG1029株)ではCNPとCNP-aminoの間の相乗効果により変異原性が上昇している。 ことがわかった。 ある化学物質の環境中での分解代謝物を全て把握することは難しく、それら全ての代謝物の毒性試験を行うことは極めて困難である。従って、ある化学物質の環境中での毒性の変動を議論する際には、本研究で取り上げたAmes試験に代表されるバイオアッセイを用いて、系全体を総括的に評価する必要があると提言できる。
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