研究概要 |
本研究では,環境を考慮した通勤手当支給制度に先進的に変更した企業の効果,きっかけ,工夫,従業員の制度変更に対する意識を把握し,まだ制度変更していない企業の変更意図を構成する要因を把握することにより,制度変更を促す方法を提案した. 通勤自動車抑制施策としてコストの小さい経済的手法が望ましいこと,企業が環境対策を行うメリットが生じていること,従業員のコミットメント問題の解決策が必要であることから,環境を考慮した通勤手当支給制度へ企業が変更することを提案した.現在,通勤手当は所得税の非課税範囲に沿った支給額となっていることが多く、外部費用と自動車による大気環境問題から,制度変更する必要があることが示唆された. また、先進的制度変更として,名古屋市はベースアップを通勤手当にあてることにより,自転車通勤手当を増額し,5km未満の自動車通勤手当を減額した.5km未満の自動車通勤手当を2000円から1000円に減額したところ,1453人から747人に減少している.また,82.3%の職員に支持されており,やむを得ず自動車通勤する職員に配慮し,対象外としている. 大阪府下の企業に対してアンケートを実施した結果,名古屋市型の通勤手当支給制度変更は12.5%普及すると期待された.さらに,通勤手当支給制度変更意図を高める方策を探るために,通勤手当支給制度変更の共分散構造分析を行った,それにより他企業の賛同傾向や有効性や公平性を開示することにより制度変更を促す効果があることが確認された.
|