本研究では維持管理が容易でコストの低減が期待できる物理的分解法の1つである高速回転ディスク(新規に制作)による余剰汚泥の可溶化に関する検討を行った。また、前加温による可溶化の促進効果について検討した。本研究では下水処理場から排出される余剰汚泥を対象として可溶化の検討を行った。装置の運転条件には汚泥の種類によって、汚泥濃度、処理時間、ディスク間隔、回転数の組み合わせに最適条件があるものと考えられる。その最適条件を把握するために可溶化率の比較ならびに、それに要するコストの比較を行った。 以下に本研究によって得られた成果をまとめる。 (1)ディスク処理の前処理としての加温を行うことで初期の可溶化率を高くでき、処理時間の短縮が可能である。 (2)回転数が高いほど初期の可溶化率を高くできるが、回転数が低く初期における可溶化率が低くても処理時間を長くすることで可溶化率を高くできる。 (3)ディスク間隔の違いによる可溶化率の差はほとんどみられず、間隔を大きく設定でき、さらに1枚のみの回転ディスクによる汚泥の可溶化処理が十分に可能であることが実験的に示された。ディスク1枚のみで汚泥の可溶化処理が可能であることは、装置製作費、実際の使用やメンテナンス等の観点から極めて有利である。 (4)より安価な処理を行うための条件としては、高汚泥濃度で、比較的高回転速度(4500〜5000rpm)で短い時間処理を行うこと、あるいは高汚泥濃度で、低回転速度で比較的長い時間処理を行うことである。 (5)可溶化処理を行った余剰汚泥は1日程度の時間で50%の消化率(嫌気的消化)が実現でき、十分に実用化が可能なレベルである。 (6)可溶化処理を行った余剰汚泥の好気的生分解特牲に関する実験結果から、本高速回転ディスクプロスを適用することで余剰汚泥無発生型の好気性排水処理プロセス実現の可能性が強く示唆された。
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