研究概要 |
【抗スポロゾイトモノクロ-ナル抗体の開発】 オーシストを破砕した溶液で免疫したマウスより脾臓を摘出し,脾細胞とミエローマ細胞をポリエチレングリコールで融合することによりハイブリドーマを作製した。その後,スポロゾイトのホモジェネート標品(SH)を吸着させたELISAプレートでスクリーニングを行い,反応性の高い6クローンを選択した。また,脱嚢処理後のスポロゾイトとミネラルオイルのホモジェネートで免疫したマウスの脾細胞からハイブリドーマを作製し,500ウエル以上まで増殖させてスクリーニングに供した。スクリーニングのELISAにはSHを吸着させたプレートとオーシスト壁標品(OW)を吸着させたプレートを用意し,SHに対する反応性は高いが,OWに対する反応性が低いものをスポロゾイト抗体の候補とし,また,OWに対する反応性が高いものをオーシスト壁抗体の候補とした。その結果,現段階までにスポロゾイト抗体の候補を14クローン,また,オーシスト壁の候補を22クローン選択することができた。 【フロ-サイトメトリによる計測条件の最適化】 オーシストに紫外線を照射し,脱嚢率を50%および90%にコントロールした2試料と紫外線を照射しなかった試料(脱嚢率100%)をフローサイトメトリー(Partec,PAS-III)に導入し,側方散乱光(SSC)および前方散乱光(FSC)を計測した。その結果,「未脱嚢オーシスト」「オーシスト壁」「スポロゾイト」が出現するSSC-FSC座標領域が明らかとなり,脱嚢率が上がるに従い「未脱嚢オーシスト」数が減少し,「オーシスト壁」数および「スポロゾイト」数が増加することを確認できるようになった。しかし,「オーシスト壁」数に対する「スポロゾイト」数の比は1:3.2と理論比よりも20%ほど「スポロゾイト」数が少なく,座標領域の取り方に改良が必要であると考えられる。
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