本研究では、ポンプ圧送によるコンクリートの品質変化について検討した。本年度は、以下の4点について検討した。 1.レオロジー性質の経時変化 モルタル試料を対象としてレオロジー性質の経時変化を実験的に検討した。水セメント比や単位粗骨材量などを実験要因とし、通常の静置状態におけるコンシステンシーの変化をレオロジー的に整理検討した。 2.せん断力がレオロジー性質に及ぼす影響 次に、ポンプ圧送によって加わるせん断力がフレッシュモルタルの物性に及ぼす影響に付いて検討した。ここでは、ミキサによる撹拌時間とレオロジー定数の変化の程度の関係を把握することにより、ポンプ圧送時におけるせん断力がレオロジー定数に及ぼす影響を検討した。また、これと平行して、既往のポンプ圧送実験データを解析し、ポンプ圧送前後のレオロジー性質の変化について検討した。その結果、高いせん断力を受けることにより、レオロジー性質が変化するときの特徴的なパターンが存在することが分かった。 3.コンクリートのみかけの圧縮強度に及ぼす諸要因 最後に、ポンプ圧送前後のコンクリートの品質変化を判定するにあたり、コンクリートの圧縮強度に及ぼす影響因子について検討を行った。ここでは、コンクリート本来の性質ではなく、みかけの圧縮強度に及ぼす影響因子として、コンクリートの打継ぎと締固めの程度が圧縮強度に及ぼす影響について検討した。
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