研究概要 |
地震動空間変動は基礎応答の並進成分を低減する反面、ねじれや回転成分を二次的に発生させる.これらの地震動空間変動と基礎応答の関係は、理論計算に基づいて調べられている例が多く見られる.しかしながら,自由地盤でのアレイ地震観測から得られた地震動空間変動量と基礎地震応答の関係を理論計算などの際に導入される様々な仮定を置くことなく,観測にのみ基づいて比較検討した例は殆ど無い.一方,地震動空間変動は地震波に含まれる周波数成分ごとにその特性が異なる.さらに同じ周波数成分であっても地震動の主要動部とコーダ部でも、その特性が変わる. 本研究では、地震動継続時間中の時間ウインドウと周波数成分をパラメターとして,地震動空間変動と基礎応答の関係を観測記録にのみ基づいて調べた.地震動の相互相関係数(自由地盤上の2地点間の地震動相互相関係数)は,5秒幅の時間ウインドウを時間軸上でずらしながら計算した.また,各時間ウインドウ波形を中心周波数0.75,1.5,3.0,6.0,12.0Hzのオクターブバンドパスフィルターを施し,各フィルター波形について相互相関係数を求めた.地震動空間変動と基礎並進動・ねじれ振動の関係を調べた。その結果,次のことが確認された.1)S波到達時において,相互相関係数は高い値(0.8以上)を示し,並進成分の入力低減は少なくなる.また,ねじれ振動成分も少なくなる.一方,2)地震動のコーダ部分において,相互相関係数は低い値(0.3〜0.6)を示し,並進動成分の入力低減が生じ,ねじれ成分の増加が見られた.今後は,地震動の上下動成分による空間変動と基礎上下動・回転動各成分との関係について調べる予定である.
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