室内空気汚染が注目されているが、学校教室において、空気質調査された例は多くはない。そこで、鹿児島市内にある3つの小学校において通常の授業を行っている1日に着目し、児童登校前から放課後にかけて構内の数カ所での空気環境の実測を行うと同時に児童を対象とした空気環境に関するアンケート調査を夏・秋・冬季に行った。各教室における測定項目は、空気温度、相対湿度、換気回数、HCHO(ホルムアルデヒド)濃度、VOCs(揮発性有機化合物)濃度である。アンケート調査では教室において、いやなにおいを感じたことがあるか等のアンケートを行った。その結果、対象児童の75%以上が、日頃、いやなにおいを感じたことがあるとの申告をしていた。温熱実測結果より、夏季の教室内は温熱的に過ごしにくく体臭の発生原因となっていることがわかった。また、夏季、秋季ではCO・CO_2濃度は学校衛生の基準と比べ問題はないこと、教室の換気回数は多く風通しがよい空間であったことがわかった。しかし、冬季には開放部を閉じることにより換気量が低減し、室内CO_2濃度が1500ppmを超える値となった。夏季実測におけるHCHO濃度は特別教室の閉鎖的な空間では高濃度であったが、これは椅子、机などの什器からの発生も考えられる。また、夏季のVOC濃度測定では、改修が行われた校舎の非換気状態時において塗料由来と考えられる物質の濃度が高かった。秋季、冬季は夏季測定に比べVOC濃度が低下していた。
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