1990年代においてはタイ、マレーシアを対象として、日本の国際協力事業団、住宅都市整備公団などの技術協力の下に、土地区画整理技術の移転が推進されている。タイではラマ9世地区において商業地域を含めた区画整理事業が開始されており、マレーシアではプチョンマレーリザーブ地区においてパイロット事業が施行されている。 特にタイではプロジェクト方式の技術協力が開始されており、専門家の派遣、研修生の受け入れ、そして技術供与に必要な機器の同時提供が1999年から進められている。専門家は住宅都市整備公団や建設省など数部門から派遣されており、積極的な受け入れが進んでいる。 1994年から開始されたバンコク・ラマ9世地区においては地盤状況や雨季の排水状況の判読が甘いなどの問題点が見られたものの、換地計画等の段階にまで進められていることが建設省の資料からわかった。また、国際協力事業団が1994年にタイ国への移転に関する詳細な報告書を作成していることもわかった。現在は、これらの資料収集が終わったところである。今後は現地踏査を行いつつ、研究としての考察を深めることが課題となる。 また、全く違った文脈で考察しなければならないが、戦前の朝鮮住宅営団、台湾住宅営団、関東州住宅営団がアジア各国において土地区画整理事業を展開しており、こうした戦前の資料についても若干の収集を行った。韓国の場合、1966年に区画整理事業法が施行され、ほぼ日本が技術移転したものをそのまま引き継いでいることなどもわかった。
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