研究概要 |
英米都市計画における合意形成理論は、近年一部のしかし複数の研究者によって新しい理論的展開がなされつつある。各研究者が述べる合意形成理論は、理論の大きな枠組みに共通した部分が多く見られるものの、学術理論的な背景や合意形成に至るための条件設定及び都市計画技術的方法論においては差異がみられ,広がりがある。 本研究では、第一年度として、その合意形成理論の広がりを把握し、各理論を相互に比較することにより、体系的整理を行った。 ・具体的成果は以下の通りである。 1.文献収集と主要研究者のピックアップ 英米の主要研究論文に対してレビューを行い、主要研究者として、Judith Innes PatsyHealy Ron Kasprisinらを選出した。 2.主要研究者へのインタビューを通じた情報収集 アメリカシアトル及びサンフランシスコを訪問し、Innes Kasprisinにヒアリングを行った。また、フィンランドで開催された国際都市計画史研究会大会に出席し、Healyにもヒアリングを行った。 3.調査結果のまとめと理論の体系化 調査の結果、対話を重視するコミュニニケイティブ・プランニング理論を核に、視覚的表現や体験を通じて合意を進めるビジョニング理論、合意の基盤となる主体の理解そのものを高めるキャパシティ・ビルディング理論、合意形成そのものを促進するコンセンサス・ビルディング理論、合意形成が危機的な状況に陥ったときに公的な介入を行うためのコウアース理論などが、英米都市計画における主要合意形成理論としで抽出された。 4.日本における参加型まちづくりの実態分析 地区レベルを対象とした参加型まちづくりの実態について分析を加え、研究論文としても発表を行った。 こうした結果をふまえて、次年度においては、こうした各理論が、日本の都市計画実務において具体的にどのように活用可能であるかを検討する。
|