個人を単位とした都市居住の実態を把握することを目的に、東京近辺の都市部に居住する「単独世帯」を対象に、アンケート調査とヒアリング調査を行った。また、ヒアリング調査を行う際は調査対象者の自宅で行い、室内の家具配置を図面に転記した。調査の概要は以下の通りである。 アンケート調査対象者 男性27名(うちヒアリング16名) 女性9名(うちヒアリング5名) 結果 主にヒアリングの結果から、都市単身居住者の特性として次のような点があげられた。 ・働く単身者の生活は必然的に仕事が中心となる。生活の拠点は「住居」だけではなく、「仕事場」「友人宅」「レストラン」「気に入りの場所」などが挙げられ「住居」以外の場所で(たとえば仕事場など)就寝する事例も多く見られ、従来の住宅の機能が都市の他の「拠点」よって担われている実態が浮き彫りになった。 ・居住者のライフスタイルを把握する上で大切な軸となる要素は次の4つであった。すなわち、1)住選択の理由、2)自宅でどのような生活行為が行なわれているか、3)住宅をどのような場所として認識しているか、4)住宅内の設えはどのようになっているか。 今後の展開 研究の今後の展開としては、まず調査の事例数を増やしてデータの客観性を強めることが必要であると考える。また同時に、調査対象者の属性(年齢、年収、職種)などを限定して、より特化したライフスタイルについての詳細な検討も有効であると考える。さらに、住宅内の家具配置・設えの事例収集は、考現学的な意味から貴重なデータと考えられ、この内容についても進める予定である。
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