本研究では建築デザインの発想を手助けするツールの開発を目的としており、本補助金交付前までに第1号ツールの試作品を制作し、2年生の授業で利用していた。そこで、補助金交付していただいた今年度からはその成果を検証するため、学生作品の考察と、学生アンケートのまとめを行い、その結果から改良を加えて、第1号ツールを完成させた。改良点は、敷地となるベースサイズが、試作品では13.5m×7.0m(縮尺1/50)という細長い形状で、しかもその長手方向に4.5m×7.0m庭が固定されていたのに対し、まずサイズを少し大きくし、縦横比を少なくして13.5m×9.9m(縮尺1/50)とし、庭はこのベースには固定せず、利用者が好きな場所に作れるようなキット構成とした。この改良により、試作品の段階では、制作上の形の制約が大きすぎるというデメリットを解消した。その後、この第1号ツールを利用して、一般親子を対象にしたワークショップを開催した。ここでの制作状況やアンケートも参考にし、このツールが一般の人でも簡単に建築デザインの発想を手助けできるものかどうか検証した。 またこの第1号ツールと同じ組み立て方式を利用した別のツールもつくれないかと試作検討をくり返した結果を、第2号ツールとしてまとめた。この第2号ツールの特徴は、第1号ツールで形をつくっていた紙に最初から町の中の建物や風景の写真を縮尺1/100でプリントしていることである。第1号ツールでは「家」がテーマのキット構成であったが、第2号ツールでは「町に住む」がテーマのキット構成としたためでもある。 今後、この第2号ツールも学生の授業で利用し、その結果をまとめたいと考えている。またこれらのツールを一部、実物大でつくり、実際にこれらの空間を体感できるものにしたいと考えている。
|