平成12年度は、当初の計画通り、基本的文献の収集と読解に力点を置いて研究活動を重ねてきた。まず、国内で出来る限り入手可能な研究書や資料を取り寄せたり、あるいは調査収集のために国内の研究機関を数多く訪ねた。さらに、関連分野の研究者(建築学・造園学・美学・美術史・文学・西洋史等)と広く密接に意見交換や議論を交わして、本研究の内容を深めるのに努めた。 またドイツへの2度(9、12月)にわたる短期研修でも、ドイツ国内の研究機関において貴重な研究書や資料等の収集に出来る限り努めた。さらに十八世紀ドイツにおける最も重要な宮廷都市として知られた、カッセルやシュヴェッティンゲン、ワイマール、ヴェルリッツ、バイロイトなどを訪ねて、パッラーディアニズムの建築作品や風景式庭園の特色を詳しく現地調査してきた。これらの調査における写真記録は、保存資料としてスライド化して、今後の研究遂行に役立てようと考えている。 以上のように、今年度においては当初の計画にそって、資料収集や現地調査に専ら従事してきており、未だ論文等の公表には到っていないものの、日本建築学会や日本造園学会等への研究報告を着実に準備してきており、さらに意欲的な報告書の作成に向けて、厳密な研鑽を積んでいるところである。
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