研究概要 |
1.資料収集 基本的な文献の収集を行った.合わせて解析や考察に特に必要なアマルナのアテン小神殿,セティI世葬祭殿の各平面図を入手した.また何冊かの書籍に関しては,絶版などの理由から,年度内の購入には至らなかった.その他,以前の調査で取られた野帳などの整理も,順次行っている. 2.平面解析作業 1で収集した文献や資料などを参照し,基準線の単位の取り方,比についての検討をしているが,図版のトレースに予想以上の手間を取っているため,残念ながら具体的な解析には至っていない. Barry KempとPamela Roseによる「Proportionality in Mind and Space in Ancient Egypt」(Cambridge Archaeological Journal,Vol.1,No.1,Spring 1991,pp.103-129)はアテン小神殿の平面解析の記述を含むもので,先ずは類似の考察をアメン神殿にも適用することを考えている. その他建設手順や部材加工も,本研究に関連が深い事柄であるので,それに関してはDieter Arnoldの「Building in Egypt」を特に参照している.なおこの書籍については,ほぼ邦語に訳出された.副次的ではあるが,最終的な仕上げを行い,本研究の過程で得られた成果として,今後公開ができればと思う. 3.論考 アメン神殿については,その重要度に比較して,遺構の現状を始めとする報告や論考は少ない.従って次年度は外部に対する発表を念頭に,寸法計画についての論考や知見の取りまとめを,過去の現場観察から得られた資料の整理や報告を兼ねながら行いたいと考えている.
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