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2000 年度 実績報告書

フランス近代建築デザイン理論における「景観」概念の生成

研究課題

研究課題/領域番号 12750571
研究機関広島大学

研究代表者

千代 章一郎  広島大学, 工学部, 助教授 (30303853)

キーワードル・コルビュジエ / ショワジイ / 景観 / 建築的プロムナード / 絵画的 / パルテノン
研究概要

本年度は、フランス近代建築デザイン理論のうち、ル・コルビュジエとオーギュスト・ショワジイによる論説を取り上げ、建築の景観デザインに関する理論を抽出し、比較検討を行った。新たに得られた知見は以下の通りである(以下の内容は投稿中もしくは投稿準備中であり、次年度に発表予定である)。
1 ル・コルビュジエに関しては、1920年代の著作から独自の景観デザイン論を抽出し、「建築的プロムナード」の概念構成の特徴を把握した。とくにパルテノン神殿に関する記述に、ショワジイとの明白な類似点が見出せた。ル・コルビュジエに特異な点として、たんに即物的な建物の景観ではなく、「景観」における「建築的」特徴を記述しようとする意図が見られた(Vers une architecture,1923)。すなわち建築的広がりの「内dedans」性が、現象学的に捉えられ、即物的な内部・外部の空間領域を越えて、外部空間にも適応されている。
一方でショワジイの場合(Histoire de l'architecture,1899)、パルテノン神殿に関する記述は即物的景観論に留まり、「景観」は視覚的内容に還元されていることが、「ピトレスク(絵画的)pittoresque」と形容される歴史的建築作品についての記述から判明した。これは、美学的、心理的内容と関わるイギリス庭園論における「ピクチュアレスク(絵画的)picturesque」概念とも異なっている。
2 また他方、実際の建築制作の面からみると、ル・コルビュジエにおける「建築的プロムナード」は斜路を巡る建築空間構成に具現化されるわけであるが、建築設計過程における斜路の変容に、ル・コルビュジエが「建築的プロムナード」について理論的に記述し得なかった内容が解釈できることが判明した。従って今後、「景観」概念の理論的検討に際して、具体的な建築作品の制作との照合も必要である。

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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