研究概要 |
Ti-Al2元系では,FCCおよびHCP構造を基本とするγ(L1_0)およびα_2(D0_<19>)規則相の存在が広く知られているが,近年,BCC構造のβ(A2)相が規則化したβ_2-TiAl(B2)相が安定相として2元系に現れることが示唆されている^<[1]>.本研究では,試料の調整および熱処理時の酸素の混入を防止するための細心の注意を払った上で,β,α,α_2,γ,各相間の平衡とA2/B2規則-不規則変態点の測定をSEM-EDSおよびDSCにより行うとともに,1000℃におけるTi-Al-X(X=Cr,Fe)3元系のA2/B2相境界の2元系への外挿値を含めた相平衡のデータに基づき,各規則-不規則変態を考慮したTi-Al2元系状態図の熱力学的解析を行った. 液相,FCC,BCCおよびHCP相の不規則状態の自由エネルギーを準正則溶体近似で記述し,L1_0,B2およびD0_<19>の規則化のエネルギーをSublatticeモデルで追加した.また,TiAl_2,Ti_2Al_5およびTiAl_3相は化学量論組成の化合物相として取り扱った.熱力学的解析の結果,β/α平衡に観察された異常な湾曲がβ相のB2規則化に伴う安定化に起因することが明らかになり,Ti-Al2元系におけるB2型アルミナイド相の相安定性を評価した.さらに,α/α_22相領域が600℃以下の低温において,拡大することが分かった.以上の知見に基づいて,Ti-Al2元系計算状態図のデータベースを構築した. [1]R.Kainuma,M.Palm and G.Inden,Intermetallics,2(1994),321-332.
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