研究概要 |
本年度は,コンビナトリアル法による材料探索を可能にするために,コンビナトリアルマシンの開発を行った.同時に,希土類磁性人工格子を作製して水素化し,構造・磁性・伝導性の変化を調べた.以下に研究実績概要を項目別にまとめた. (1)コンビナトリアル法における試料作製法の確立 分子線エピタクシー装置,SMOKE装置およびSPM装置の間で互換可能な試料ホルダーを作製した.同時に,分子線エピタクシー装置に,直線駆動シャッターを設置した.このシャッターと蒸着源用シャッターを連動させることで,一度の実験で,数種類の膜厚の異なる薄膜試料を作製できるシステムの開発に成功した. (2)コンビナトリアル法における物性評価法の確立 SMOKE装置の試料ステージを一軸方向にリモートコントロールできるように改造した.そのステージに,分子線エピタクシー装置で作製した試料を設置することで,数種類の膜厚の異なる薄膜試料の磁気特性を,同一測定条件のもとで,短時間で評価できるシステムの開発に成功した. (3)希土類磁性人工格子の水素化と構造・磁性・伝導性の評価 TM/RE(TM=Fe,Co ; RE=La)多層膜型の人工格子を作製し,水素化を試みた.水素化前後での構造・磁性・伝導性の変化を調べて,水素化の効果について検討した.その結果,大きな格子膨張とそれに起因した磁気体積効果による飽和磁化の増加,界面での不均化反応による飽和磁化の増加や電気抵抗の増大など,水素化が人工格子の物性に及ぼす影響とそのメカニズムを明らかにすることができた.また,本年度購入したRF電源を使用したRFスパッタ法により,SiO_2絶縁体を電流リーク防止膜として含むFe/La/Fe三層膜を作製することで,接合型希土類磁性人工格子を作ることができた.
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