研究概要 |
本年度は酸窒化物あるいは窒化物発光体を窒化ケイ素(Si_3N_4),希土類酸化物(あるいはその窒化物)を原料として高温固相反応により合成を試みた.高温において原料である窒化物が分解するのを防ぐため,窒素ガスの加圧下で固相反応が進められる反応焼結炉を用いた. 出発原料としてLaN,Si_3N_4,Eu_2O_3(あるいはEuN)を用いた.はじめに,グローボックスにて所定比に混合し,ペレット成形した.ペレットは10atmの窒素雰囲気中,1900℃,2時間の条件で処理した.得られた試料は単結晶回折計により結晶構造を決定するか,粉末X線回折装置を用いて結晶相を同定した.このようにして,次のLa_<0.9>Eu_<0.1>Si_3O_<0.1>N_<4.9>,Eu_2Si_5N_8とLaEuSi_2O_2Nを得た.La^<0.9>Eu_<0.1>Si_3O_<0.1>N_<4.9>は井上ら(Z.Inoue,et al.,J.Mat.Sci.,15(1980)2915.)らが報告したLaSi_3N_5の結晶構造と同じであった.また,Eu_2Si_5N_8はH.Huppertz ら(H.Huppertz and W.Schnick,Acta Cryst.,C53(1997)1751.)によりすでに報告されていた.ただし,LaEuSi_2O_2Nは本研究において新たに見いだされた(K.Uheda,et al.,J.Lumin.,87-89(2000)967.).このように結晶構造を明らかにした酸窒化物と窒化物発光体を本申請研究費で購入した高輝度光源装置と二つの分光器などを組み合わせた光学系を用いてこれら試料の発光特性を常温において評価した.その結果,La_<0.9>Eu_<0.1>Si_3O_<0.1>N_<4.9>は緑色(≒545nm),Eu_2Si_5N_8とLaEuSi_2O_2Nは赤色発光(≒650nm)を示すことが明らかとなった.
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