研究概要 |
熱電発電とは、温度差のあるところから電気エネルギーを直接取り出す発電方式であり、環境にやさしい発電方法として関心が高まっている。その中でも、金属ケイ化物は、原料が天然に多く存在し、毒性がなく、高い熱電変換効率を持つ材料として注目されている。しかし、現在までに行われている研究は主に、遷移金属のケイ化物が中心である。 本研究では、新たに希土類金属のケイ化物と希土類-遷移金属の三元系複合ケイ化物に着目し、これらを真空封管によって合成し、緻密な焼結体を作製することを目指した。また、得られた試料の電気伝導度とゼーベック係数を測定し、これらのケイ化物が熱電変換材料として利用できる可能性を、電気特性に加えて高温における耐酸化性を含めて評価した。これらに加えて4価のTiやZrのケイ化物についても焼結と電気的性質の評価を行った。その結果、MSi_2(M=Y,La,Gd)の粉末では真空中1050〜1300℃の加熱で、MYSi_2(M=Co,Ni,Cu)の粉末では真空中800〜900℃の加熱で単一相を得、HIP焼結法を用いることにより、2元系では74-84%、三元系では86〜94%の密度を持つ焼結体を得ルことに成功した。また、これらのケイ化物試料が10^5Sm^<-1>以上の非常に高い電気伝導度を持ち、二元系より三元系のほうがより高いことがわかった。温度の上昇に伴ってゼーベック係数の絶対値が増加することから、これらのケイ化物の電子構造が金属と同様であることを明らかにし、電子状態密度計算によってもこのことを確認することができた。一方、大気中高温における安定性を測定したところ、TiSi_2が非常に高い耐酸化性を持つことがわかった。以上の結果は、日本セラミックス協会第20回秋季シンポジウムにて講演発表を行った。
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