本研究は、ゾル-ゲル法によって作製した超撥水表面を、光照射等の手法を用いて局部的に親水化し、超撥水-超親水パターンを形成すること、およびこのパターンの応用を検討することを目的として行ったものである。今年度は、昨年度に得られた知見を基にさらに研究を進め、以下のような成果を得た。 (1)多数の円が規則正しくならんだフォトマスクを用いて紫外光を照射することによって得られた超撥水-超親水パターン上に、水を溶媒としたコロイダルシリカ、ポリエチレングリコール、加水分解したテトラメトキシシランからなるシリカゾルをコーティングすると、このゾルは、光照射部である親水部分にのみ残り、乾燥後、膨らみ形状を持つシリカマイクロパターンが形成できることがわかった。 (2)ポリエチレングリコール、テトラメトキシシランを加えない場合には、非常に小さい厚みのパターンしか形成できない。また、シリカゾルの濃度、ポリエチレングリコールの添加量を変化させることで、得られる膨らみパターンの厚みが制御できることがわかった。 (3)超撥水を得るために形成している凹凸の程度を変化させた撥水-親水パターンを形成し、マイクロパターン形成に及ぼす凹凸の影響について検討した結果、凹凸が小さい方がより大きな厚みを持つマイクロパターンが得られることがわかった。 (4)プロセスの低温化について検討した結果、全プロセス100℃以下で、超撥水-超親水パターンが形成できることがわかった。
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