研究概要 |
HSM(Hot Stage Microscopy)を用いて各種合金の水素化挙動を動的・反応速度論的に明確にすることを目的とした。特に(1)合金種による違いに着目し、水素化の形成過程を動的に把握する、(2)平衡水素圧の高い合金については、耐圧用観察チャンバーを開発・検討する、(3)イオン注入・イオンミキシングの効果を反応速度論的に明確化する、といった点に重点を置く。初年度は、現在使用している低圧用観察チャンバーを用いた研究を中心に行った。また、耐圧用観察チャンバーの開発をメーカーと共同で行い、製作した。 1. 現有の観察チャンバー(低圧用観察チャンバー)による研究 ZrCoおよびZrNi(低平衡水素圧合金)を使用した。これらを3×3mm、厚さ約1mmに切断、鏡面研磨後、水素イオン注入及びイオンミキシング(100keV,室温,〜5×10^<16>ions/cm^2)を行った。イオンミキシングの際の成膜種はCo、Ni、Cu、Au、Alとした。これを水素気流中、反応温度423〜523KにてHSMによるその場観察を行った。 【結果】ZrCo:水素化物の成長速度は、Coをイオンミキシングすると2〜3倍程度の増加を示した。ZrNi:未処理材では、反応時間が80min経過後も水素化物形成を確認できなかった。しかし、水素イオン注入およびCoのイオンミキシングにより、いずれの場合も5min程度で水素化物形成が確認できた。 以上のことから、HSMにより水素化挙動を動的・反応速度論的にある程度明確にできた。 2. 耐圧用観察チャンバーの開発と製作 真空理工(株)社製の標準品を改良し、耐圧用観察チャンバーを開発および製作を行った。来年度以降、TiFeやTiMn1.5などの合金の動的観察を実施する予定である。
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