研究概要 |
擬塑性流体中での自由運動液滴の挙動を実験・数値解析により考察した.実験では擬塑性流体としてCarboxymethyl Cellulose(CMC)およびSodium Acrylate(SA)水溶液系を考え,分散相液滴流体としてSilicone Oilを用いた.擬塑特性をコーンプレート型粘度計により実測した.CMC水溶液は擬塑性特性の弱い流体であり,SA水溶液は擬塑性特性が非常に大きい流体であった.自由液滴はノズルの内径を変えることにより数種の大きさに調整した.CMC溶液の場合,液滴径が6[mm]〜12[mm]程度では擬塑性特性が現れず,ニュートン流体系での運動と見なせた.一方,SA水溶液では6[mm]〜12[mm]の範囲の液滴全てで,擬塑性特性が顕著に現れ,大幅に運動速度が早くなった.これらの実験結果をVOF法による数値解析により再現を試みた.数値解析結果は,液滴形状・Reynolds数等の実験観察結果と概ね良好に一致し,非ニュートン流体系に対する数値解析法の有効性を確認した.また,数値解析により実験では得ることが難しい,液滴運動時の局所粘度分布状態を示すことが出来た.数値解析より,CMC溶液では液滴周りの粘度減少が殆どなく,非ニュートン性が現れない運動あることを確証できた.また,SA溶液では粘度減少が液滴周りで顕著であり,非ニュートン性の影響を確認できた.特に,擬塑性特性が強い流体中を運動する液滴の場合,液滴背後で高粘性領域が特徴的であることを明らかにした.
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