研究概要 |
本研究では電極容量増大を目指し擬似容量をもたらす金属微粒子を気相プロセスであるプラズマCVD法を用いて担持させ、金属-活性炭複合電極を作製した。金属微粒子としてはPtを用いた。比表面積1,500m^2/gの活性炭素繊維(東洋紡績KF-1500F)を基材に用い、H_2をキャリアーガスとしてH_2PtCl_6を導入した。H_2/Ar比20%、全圧67Pa、高周波電源出力3〜15WにてプラズマCVD処理を行った。XRDにて担持粒子がPtであることを確認し、担持粒子の形態をSEMおよび高分解能FE-SEMにて観察した。活性炭素繊維表面の50〜100μmのマクロ孔内に20nm以下のpt粒子の形成を確認し、プラズマCVD法での金属微粒子担持活性炭素複合電極作製の有用性が示された。 電解液に0.5MH_2SO_4水溶液を用いコイン型二端子セルにてサイクリックボルタンメトリ(CV)測定を行い、以下の結果を得た。H_2PtCl_6溶液濃度0.064mol/l、プラズマ出力5W,10Wにて基板温度を150〜450℃の範囲で変化させたところ基板温度の増大とともに容量は増加し350℃のときに容量が最大となった。450℃ではPt粒子が凝集し、比表面積が減少したことにより容量が低下したと考えられる。Pt粒子の凝集の様子はSEMにより確認できた。さらに、溶液濃度を0.064mol/lから0.32mol/lとし、プラズマ出力10Wで基板温度を変化させたところ、250℃のプラズマ処理条件において306F/gと容量が最大になり未担持電極の247F/gに比べて24%増加した。基板温度350℃,450℃では容量は大幅に低下した。低溶液濃度(0.064mol/l)ではプラズマ出力5W,10Wの条件とも基板温度の増大とともに上昇し、容量最大となった350℃で担持量も最大となった。一方、高濃度(0.32mol/l)では基板温度と担持量に相関がみられず、容量測定結果の傾向とも一致しなかった。特に容量最大値が得られた基板温度250℃の条件と450℃では、ほぼ同量のPt担持量(約10%)にもかかわらず容量測定結果に明らかな差異がみられ、SEM測定からもPt粒子の凝集に起因する容量低下が確認された。
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